シリコン塗料の特徴と失敗しない選び方。適正相場価格や注意点なども詳しく解説
外壁塗装工事は「塗料の選択」次第で、ほぼ8割方工事の良し悪しが決まるといわれていますので、ご自宅の外壁や屋根にどんな種類の塗料を塗るのか?はとても重要な決定事項になります。
今回は、外壁塗装工事で一番使用率の多い「シリコン塗料」にフォーカスして、シリコン塗料の特徴や選び方、比較する際の注意点などをお届けしていきます。
目次
シリコン塗料の特徴
シリコン塗料は、シリコン樹脂をベースに造られた塗料のことです。正式には「アクリルシリコン樹脂塗料」といいます。
屋根や外壁塗装用で使用されているシリコン樹脂は、樹木から採取される本物の樹脂ではなく、石油から人為的に製造された合成樹脂(ケイ素)です。
シリコン塗料の歴史は古く、1940年代からアメリカで商品化され、その後日本でも1950年後半あたりから普及し始めて、現在では住宅塗り替えで70%以上のシェアを誇っている人気塗料となっています。
特徴としては、耐久性、耐熱性、撥水性、防藻・防カビ効果に優れており、ウレタン樹脂塗料の上位互換と考えて良いでしょう。
シリコン塗料の持ち(期待耐用年数)
シリコン塗料の耐用年数は約7〜12年が目安となります。塗料の性能により持つ年数は大きく変わりますので注意です。シリコン塗料の選び方については後半で詳しく解説していきます。
■塗料の種類別 耐用年数表
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シリコン塗料の相場価格(平米単価)
シリコン塗料の塗料価格(m2単価)は、だいたい1,800〜3,800円/m2あたりが相場となります。
平米(m2)単価とは、1m×1mの面積(屋根・外壁)を塗装するためにかかる費用のことで、外壁塗装の見積書にも記載されている項目です。
■塗料別 設計単価
塗料グレード | 期待耐用年数 | m2単価 |
アクリル樹脂塗料 | 3~5年 | 800~1,970円 |
ウレタン樹脂塗料 | 5~7年 | 1,200~2,840円 |
シリコン樹脂塗料 | 7~12年 | 1,800~3,800円 |
フッ素樹脂塗料 | 12~15年 | 2,200~4,300円 |
無機塗料 | 15~20年 | 2,800~4,740円 |
※上記㎡単価は「日本ペイント設計単価表2023年度 5月版」等の各塗料メーカー設計単価表より抽出し、弊社にて独自集計したものになります。
シリコン塗料のコスパ(費用対効果)
続いて、一番気になるシリコン塗料のコスパ(費用対効果)について見ていきましょう。
外壁塗装のコスパは、塗装工事にかかる一回分の費用ではなく、1年間にかかる塗装費用を割り出して比較します。例えば、10年持つシリコン塗料で100万円の工事費用がかかるのであれば、年間10万円のコスパといった感じですね。
もう一つの考え方としては、「長期的な目線でいかに塗装工事の回数を少なくできるか」というランニングコストの視点でコスパをはかる方法もあります。
下の図は、今後30年間に必要な塗装工事の回数を塗料別に一覧にしてまとめたものです。
一度塗装工事を行うと、必ず足場代や人件費がかかります。これらはどの塗料を選択しても変わらない必要経費であり、工事の回数が増えればその分だけ加算されていきます。
ですから、なるだけ長く持つ塗料で塗装周期をのばし、工事の回数を減らすことがコスパにつながるというわけです。
ちなみに、ネットなどで調べると「シリコン塗料はコスパが良い」などと書かれていますが、実際はコスパが良いわけではなく、価格と性能が平均値の塗料なだけです。
シリコン塗料の選び方と注意点
住宅用の塗り替え塗料では70%以上のシェアを誇る人気のシリコン塗料ですが、一方で、販売されている製品の数が最も多く、一番騙されやすい塗料でもあるんです。
今回は、そんなシリコン塗料の選び方や、選ぶ際のポイントや注意点について解説していきます。
同じシリコン塗料でも性能にバラツキがある
まず最初に知っておいてほしいのが、同じシリコン塗料でも性能にかなりバラツキがあるということです。
これは、塗料の中に含まれるシリコン樹脂の割合(含有量)の違いによるもので、たった1%しかシリコンが入っていない塗料でもシリコン塗料と呼べてしまうためです。じつは塗料の呼び方に明確な定義や規定がないんですね。
(※樹脂の含有量%はどの塗料メーカーも基本的に非公開)
ですから、「同じシリコンなら安い方でお願いしよう」なんて安易に決めてしまうと失敗するわけですね。
大手塗料メーカーのシリコン塗料を選ぼう!
では、失敗しないシリコン塗料を選ぶにはどうしたら良いか?ですが、まずは大手塗料メーカーの塗料を選ぶことです。
住宅用塗料メーカーは国内200社以上あるといわれていますが、その中でも3大塗料メーカーである「日本ペイント」「関西ペイント」「SK化研」は長年の実績と信頼性があります。
逆に、名前も聞いたことのない塗料メーカーや、自社オリジナル塗料などは避けた方が無難です。
➡︎【外壁塗装】主要塗料メーカー一覧|各メーカーの特徴と失敗しない選び方
水性より油性、1液より2液の方が性能は上
あと、塗料には性質(タイプ)があり、それによって性能が大きく変わってきます。どんな性質のシリコン塗料で見積もりされているのか?をしっかりチェックした上で金額や性能の比較を行うと良いでしょう。
■塗料の性質による性能の優劣
- 水性 < 油性
- 1液 < 2液
※水性は水道水、油性は塗料用シンナーなどの溶剤で薄めて使用
※2液型は、さらに塗料を固める材料「硬化剤」を混ぜて使用する塗料のこと
希釈 | 性質 | 塗料性能(耐用年数) |
水性 | 1液型 | △ |
2液型 | ◯ | |
油性 | 1液型 | ◯ |
2液型 | ◎ |
➡外壁塗装における1液型と2液型の違いと選び方のポイント解説
特殊な機能を持つシリコン塗料
他にも、特殊な機能・効果を持つシリコン塗料がありますので、いくつか紹介しておきます。
代表的なところでいえば、太陽熱を遮断したり反射する効果のある遮熱・断熱塗料、紫外線による色褪せを軽減させる効果を持つラジカル制御型塗料などです。
これらの塗料の多くは、シリコン樹脂をベースに特殊な添加剤を混ぜ合わせて製造されており、通常のシリコン塗料より若干割高な設定になっています。
シリコン塗料 よくある質問集【FAQ】
以下に、お客さまから良く訊かれるシリコン塗料の疑問や質問をまとめておきましたので、ご参考ください。
Q:なぜシリコン塗料が人気なの?
A:シリコン塗料は価格も性能も中間的な位置付けなので、住宅の塗り替えで一番多く使用されています。ただし、「塗料の人気ランキング」というのは、実際「業者がすすめている売りたいランキング」ですから、ご自身のご予算と将来設計に合わせて塗料を選ぶのがベストです。
Q:シリコン塗料はヒビ割れしやすいって聞いたけどホント?
A:そんなことはありません。むしろ無機やフッ素の方がヒビ割れしやすいです。しかし、これらはあくまでも塗料を研究する立場の人たちの見解であり、現場レベルで実感することはまずありません。シリコンがそのような塗料であれば製品化されませんので。
Q:シリコン塗料は他の塗料より光沢ツヤが強いの?
A:光沢(ツヤ)は製品により異なりますが、ウレタン塗料の方がツヤがあるように感じます。ただし、これもお客様が実感できるレベルでの違いはありません。
Q:屋根や外壁以外にも塗装できるの?
A:シリコン塗料は屋根や外壁以外の部位にも塗装可能です。例えば、雨樋や雨戸、破風板などです。水性より油性(弱溶剤)塗料の方が密着性も良く好ましいです。
Q:シリコンより性能が高い塗料って何?
A:フッ素塗料や無機塗料などがあります。ただし、前項でもお伝えしたように樹脂の含有量や製品次第になります。
Q:シリコンの価格は一缶いくらぐらいですか?
A:性能の低いシリコン塗料で10,000円前後から。性能の高いシリコンで40,000円前後します。これらは、シリコンが含まれる率(含有量)や、水性・油性、1液・2液といった性質により変わります。
Q:シリコンの上からまたシリコンを塗装できる?
A:適切な下地処理と下塗り材を施工すれば問題なく塗装が可能です。
Q:シリコン塗料は色に制限とかありますか?
A:特にありません。現在の外壁(屋根)の色に限らずどの色でも塗装可能ですが、原色に近い濃い色は水性では造れないこともあります。
まとめ:シリコン塗料はこんな方におすすめ!
では最後に、シリコン塗料はどんな方に向いているか?ですが、
- とりあえず10年持てばOKという方
- 特にこだわりがない方
- 無難に塗装工事をしたい方
といった考えをお持ちの方におすすめです。
注意点としては、同じシリコン塗料でも製品によって性能に差があるので、できる限り大手塗料メーカーの塗料で、かつ性能が良い塗料を選ぶことが重要です。
株式会社ソウシンでも、これまでさまざまな塗料メーカーのシリコン塗料を取り扱ってきましたので、どの製品がどの程度の性能を持ったシリコン塗料なのかを熟知しています。
福岡県にお住まいの方であれば、シリコン塗料に限定せず、お客様のご予算と将来設計に沿うベストな塗料をご提案できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
➡︎おすすめのシリコン塗料ランキング
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