屋根に遮熱塗料は本当に効果があるのか?室内温度は下がる?エアコン代が節電?
- 遮熱塗料って本当に効果あるの?
- エアコン代はどのくらい節約できるの?
- 温度を下げる以外にメリットある?
- だいたいの相場価格はいくら?
- 遮熱塗料のデメリットは?
最近では屋根に遮熱塗料を選ばれるお客様もかなり増えましたが、それでも遮熱塗料の効果や性能に多少疑問や不安を抱かれている方も多いようです。
そこで今回は、塗装屋があまり語りたがらない「遮熱塗料の実際の効果」について正直にお話ししていこうと思います。
その他、遮熱塗料のこれまでの実績や歴史、製品としての完成度、一般相場価格、メリット・デメリットなど、プロだから知っている遮熱塗料の全てをわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
遮熱塗料の仕組みと特徴
遮熱塗料とは、太陽光に含まれる近赤外線を反射させ、温度の上昇を抑える機能を持つ塗料のことで、正式名称は「高日射反射率塗料」といいます。
塗料メーカーにより若干の違いはありますが、塗装した部位の表面温度を約10〜20度下げる効果があります。
■温度が下がるメカニズム
太陽が暖かいと感じるのは「赤外線」という光の影響によるものです。
この赤外線(光)は、物体に当たると「熱」に変わる性質をもちますので、その前に反射させて建物の温度上昇を抑えようと考えて造られたのが遮熱塗料です。
遮熱塗料には、赤外線を反射させる特殊な添加剤(顔料)が含まれており、これにより建物が太陽から受ける熱の蓄積が抑制され、室温の上昇を軽減することを可能としています。
ちなみに断熱塗料も似たような商品ですが、こちらは「熱を吸収して遮断する(物体に熱を伝わりにくくする特性)」というまた違ったメカニズムを持った塗料です。
■遮熱塗料の歴史
遮熱塗料の歴史は古く、今から40年以上前にすでに販売されています。
- 1979年:スズカファインから国内初の太陽熱反射塗料「クールトップ」販売開始
- 2001年:日本特殊塗料より一般住宅用として国内初になる屋根用遮熱塗料「パラサーモ」販売開始
遮熱塗料は、発売当初は塗装後すぐに変色するなどの不具合も報告されていましたが、現在ではそういった不具合もなく安定して利用できる塗料となっています。
実際の遮熱塗料の効果について
画像:アドクールAqua
- 遮熱塗料を塗れば部屋が涼しくなる
- 夏場のエアコン代が節約できる
遮熱塗料といえばこんなイメージをされる方も多いと思いますが、一般住宅ではこうした省エネ効果はほとんど感じられないというのが正直なところです。
確かに、遮熱塗料は塗布部の表面温度を10〜15度程度下げます。しかしながら、それはあくまでも表面温度の話であり、室内温度ではありません。多くの方がこの点を勘違いされています。
遮熱の試験データは一般住宅がモデルではない!
あともう一つ注意したい点は、遮熱の塗料カタログは主に金属製屋根やプレハブ小屋が試験モデルだという点です。
金属は熱伝導率が高く、熱の影響を受けやすい素材なのです。したがって、カタログに載っている室内の温度差はもっとも遮熱効果が出やすい環境データなのです。
しかし、一般住宅の場合はそうはいきません。
屋根は熱を通しにくいセメント系の瓦が多く、その下には野地板、垂木、ルーフィング防水シート、断熱材に屋根裏空間まであり、そもそも初めから室内に熱を通さないような構造なのです。
したがって、仮に瓦の表面温度が10〜15度下がったところで2階の室内温度は下がっても1〜2度程度で、体感的な変化はほとんど感じられないというのが現状でしょう。
結論としては、エアコン代を安くする節電目的での遮熱塗料の使用は、おそらく期待はずれに終わる可能性が高いということです。
一般住宅で遮熱塗料を使う2つのメリット
「節電にならないのなら遮熱塗料を塗るメリットってある?」と思われるかもしれませんが、ちゃんとメリットはあります。
■一般住宅で遮熱塗料を使うメリット
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以下、補足します。
1. 熱による建材へのダメージを軽減してくれる
お住まいを劣化させる主な原因は、紫外線と湿気、熱の3つです。特に真夏の炎天下では、屋根瓦は最大で70℃にまで上昇するといわれています。これはまさに目玉焼きが美味しく焼けるほどの高温です。
もちろん、熱による悪影響は屋根瓦だけではありません。瓦の下にある野地板や垂木といった躯体部まで熱ダメージを受け続けます。
遮熱塗料は、お住まいの劣化原因の一つである熱(赤外線)を反射してくれて、屋根全体の温度上昇を抑え、建物の寿命を延ばしてくれるメリットがある塗料なのです。
2.助成金や補助金が使えるケースがある
遮熱塗料のもう一つのメリットは、国や自治体の助成金(補助金)制度が使えるケースがあるという点です。
この制度を利用するために遮熱塗料を検討されているという方も多いと思います。もちろん条件や申請期間などに縛りはあるものの、活用できれば最大で50万ほど安くなるケースもあるため、かなり経済的に外壁塗装工事が可能になります。
➡︎福岡県で利用できる外壁塗装の補助金・助成金の市町村一覧はこちら
遮熱塗料の耐用年数︎(寿命)
■遮熱塗料の耐用年数(目安)
※期待耐用年数は商品(性能)により異なります。
遮熱塗料というのは、一般的な塗料に遮熱効果を付与した塗料の総称です。ですから、「遮熱塗料だから何年持つ」といったことはありませんし、「遮熱塗料」を一括りとして耐用年数を測ることはできないのです。
例えば、フッ素塗料の遮熱タイプであれば12〜15年程度、シリコン塗料の遮熱タイプであれば7〜12年といったように、耐用年数は元(ベース)になっている塗料に依存することを知っておきましょう。
遮熱塗料の一般的な相場価格(平米単価)
■遮熱塗料の塗料性能別 相場価格
塗料グレード | 平米単価(m2) | 期待耐用年数 |
ウレタン樹脂ベースの遮熱塗料 | 1,500〜3,000円/m2 | 5〜7年 |
シリコン樹脂ベースの遮熱塗料 | 2,000〜4,000円/m2 | 7〜12年 |
フッ素樹脂ベースの遮熱塗料 | 2,500〜4,500円/m2 | 12〜15年 |
無機系の遮熱塗料 | 3,000〜5,000円/m2 | 15〜20年 |
※上記単価は、各塗料メーカーの設計単価表(300㎡以上を対象)をもとに、一般的な住宅用単価の目安を弊社にて独自集計したものです。
遮熱塗料の相場価格も、先ほどの耐用年数と考え方は同じで、ベースになっている塗料の性能に依存します。
もちろんフッ素や無機といったハイグレードな塗料がベースの遮熱塗料であれば高額になりますし、シリコンやラジカルといった一般的な塗料がベースであれば価格も一般的になります。
目安としては、どのグレードの塗料も遮熱効果が付与されることにより、通常より300円/m2ほど相場価格が上がると考えておくと良いかもしれませんね。
遮熱塗料に関するよくある質問【Q&A】
Q:遮熱塗料のデメリットはありますか?
A:一般住宅ではエアコンの節電にはあまり繋がらないという点です。
Q:遮熱塗料に保温性能はありますか?
A:保温効果はありません。
Q:遮熱塗料の施工には特別な技術が必要ですか?
A:特に必要ありません。通常の塗装工事と同じです。
Q:遮熱塗料を塗ると冬は寒くなりますか?
A:寒くありません。冬場は赤外線量が減りますので、遮熱効果もその分少なくなるためです。
Q:遮熱塗料は結露がすごいと聞きましたが本当ですか?
A:通常の塗料とほぼ変わりません。
Q:遮熱がもっとも効果的な色は何色ですか?
A:反射率がもっとも高い色は白ですが、屋根を白で塗ると全体の配色バランスが良くないためあまりおすすめしません。
Q:遮熱塗料の色は選べますか?
A:選べます。通常の塗料と変わりません。
遮熱塗料の効果、特徴まとめ
今回は外壁塗装工事で使用されている遮熱塗料について詳しく解説してきました。以下に、遮熱塗料の押さえておくべきポイントをまとめましたので、振り返ってみてください。
■遮熱塗料の実績・信頼性
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■遮熱塗料の効果
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■遮熱塗料の利用価値
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遮熱塗料をお勧めする塗装業者の中には、「エアコン代が劇的に安くなる」などの過大効果を宣伝して営業している業者も多いいので注意しましょう。
当社では、遮熱塗料や断熱塗料のほか、あらゆる種類の塗料を取り扱っております。創業15年の経験を生かし、お客様のご予算や将来設計、ご要望をお伺いしながら、本当にご満足いただけるベストな塗料を一緒に考えながらご提案させていただいております。ぜひお気軽にご相談ください。